イギリスで生まれたブックメーカーの歴史【330兆円を超える巨大市場】
ブックメーカーの歴史や経済市場に与える影響などを解説します。
世界中で熱狂的なファンを持つブックメーカーは、200年以上前にイギリスで生まれた賭け事を運営する胴元です。
長きにわたる歴史のなかでイギリスの文化として日常的に浸透してきたブックメーカーは、今や北米から南米、日本を含むアジアの多くの国々で楽しまれる巨大エンターテインメントに成長しました。
日本でも香川選手や本田選手のようなサッカー選手が本場ヨーロッパのビッククラブに移籍するニュースやラグビーワールドカップの日本開催などをきっかけに、ブックメーカーの日本人ユーザーも年々増加傾向にあります。
イギリスで生まれたブックメーカーの歴史
ブックメーカーは1790年代、イギリスの世界最大の競馬町にあるニューマーケット競馬場にて ”ハリー・オグデン” という人物が競馬の勝ち馬予想からスタートしたと言われています。
初めはイギリスの競馬の歴史にそぐわないという観点で抵抗がありましたが、スポーツの新たな楽しみ方として国民に徐々に定着していき、競馬のみならずプロスポーツや大学スポーツにまで対象が広がっていきました。
1960年にはイギリス政府公認となり、厳しい認可審査を経て、民営によるブックメーカーが数々と誕生したのです。
ブックメーカーの役割り
ブックメーカーの賭けの対象は、イギリスで競馬から始まり、徐々に様々な種類のスポーツへと広がっていきました。
そしてその対象はサッカー・アメフト・野球・バスケットボール等のメジャースポーツの賭けだけではなく、アメリカの大統領選挙やゲームの大会、アカデミー賞の授賞者や次のジェームズ・ボンドを演じる役者、クリスマスに雪が降るかどうかというものまで非常に幅広いものとなりました。
今では順位が付けられるものにはほぼ全てのイベントに賭けが流行しています。これはイギリスの賭けに対する文化が反映されています。
賭け事が日本よりも身近な欧米では『先進国のエンターテインメント』として発展していきました。 ”ギャンブル” というと、日本ではネガティブなイメージが強くなりますが、イギリスやアメリカなどのスポーツ先進国では、スポーツの試合にお金を賭けて楽しむという行為は娯楽として考えられています。
そのため、広く一般的に受け入れられていったのです。
イギリス発祥のブックメーカー市場規模
ブックメーカーの市場規模については調査会社によって違いがあるものの、国際刑事警察機構である「インターポール」によると、合法・非合法を合わせると約330兆円と言われています。
イギリスを筆頭にヨーロッパでは特に人気で、例えば日本で言う「競馬・競輪」といった公営ギャンブルや、totoなどの宝くじのように非常にポピュラーなものとして浸透しています。
イギリスの市場規模
ブックメーカーの発祥国といわれているイギリスでは、ブックメーカーの市場規模は5000億円以上にもなっていると言われています。
この数字は、日本のパチンコ(パチスロ含む)業界の市場規模(約25兆円)と比較すると実はかなり小さいのですが、イギリス国内ではギャンブル産業において重要な一角を占めています。
前述の様にイギリスではブックメーカーも政府公認の合法で、法的にも許可を受け信頼のできるブックメーカーは『Independent Betting Adjudication Service(IBA)』という団体に加盟しています。
賭け屋であるブックメーカーの存在は、イギリスやヨーロッパ諸国では人々にとって身近な存在であり、例えばテレビ中継されるスポーツのスポンサーが大手のブックメーカー企業だったりもします。
アメリカの市場規模
アメリカでは、スポーツベッティングを禁止する連邦法『1992年連邦プロ・アマスポーツ保護法(PASPA)』により、スポーツを対象としたギャンブルは長きにわたり規制されていました。
しかし2018年にブックメーカーを利用したスポーツベットが解禁されてからは合法とする州が増加していき、2021年時点ではアイオワ州・ペンシルバニア州・ニュージャージー州など20州以上となりました。
そして2020年より始まった新型コロナウィルスの感染症が拡大してラスベガスなどのランドカジノが憂き目を見る一方で、スポーツベッティング分野が急拡大を続けていき、2021年の1月にはニューヨーク州のクオモ知事が約160億ドル(約1兆6500億円)に上る財政赤字の穴埋めに向けてオンラインでのスポーツ賭博の合法化を支持すると表明しました。
日本の市場規模
ギャンブルに対してネガティブなイメージを抱きやすい日本では、ブックメーカーの営業はいわゆる「ノミ行為」として全て違法とされており、刑法などの法律で厳しく禁じられており、主催(開設)者はもとより、それを購入した参加者も処罰されます。
高校野球を賭けの対象とした「野球賭博」や「相撲賭博」などで処罰された例も過去にはあります。
つまり、競馬などの公営競技の投票券等を購入することは違法ではありませんが、公営競技の結果を使ったブックメーカーの営業は違法という事に。
ただこちらに関してはオンラインカジノ等と一緒で、オンラインで行うギャンブルに関する具体的な法律は存在しておらず、例えばイギリスで厳しい基準をクリアーし、取得したライセンスを持っていて100%合法的な組織のブックメーカーで賭けを行ったとしても(日本の)参加者だけが違法、という矛盾した状態では日本の法律では賭博罪が成立しません。
日本人のブックメーカー利用者は現状少ないですが、2024年の合法化に向けて検討を行っていると、英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が報じた事もあり、前向きに進んでいる模様。
もし合法化された場合は、サッカーと野球を合わせて年間推定約7兆1,500億円以上という、とてつもない規模のスポーツベッティング市場が生まれる事に…!
ブックメーカーの将来的予測
約330兆円と言われているブックメーカーの世界的な市場規模ですが、今後はアメリカ全土でネットギャンブルが解禁されたこともあり、さらに規模は膨らんでいくと予想されています。
また、スポーツベッティングの市場規模は2020年〜2025年の間、世界市場で年率8.62%で成長するとも予測されており、すでに世界経済に影響を与えるほどのビジネスに。
急速な発展の大きな理由は、何といってもインターネットの発展。かつては、イギリスの店頭や違法なノミ屋でしか購入できなかった投票券を、ネットから気購入できるようになったことで気軽に利用する事ができ、スポーツベッティングの人口が急増しました。
世界中からネット上でブックメーカーに参加することが可能となったのです。ブックメーカーが爆発的に世界中へと広がり、スポーツの楽しみ方の一つとして定番となっていきました。
またブックメーカーの対象も多様化し、オリンピックやサッカーW杯などの世界的ビッグイベント、サッカーのプレミアリーグやセリエAなどのリーグ戦、MLB、NBAなどアメリカのメジャースポーツはもちろんのこと、今では日本のプロ野球やJリーグなどまであらゆるスポーツが対象となっています。
世界のブックメーカーの課題
もちろんブックメーカーでのベッティングは良い面ばかりではありません。もちろんデメリットも存在します。
抱えている主な問題点としては、八百長問題やギャンブル依存症問題などがあります。
ブックメーカーの八百長
スポーツベッティングでは、わざと試合に負けたり、得点を許したりといった八百長(イカサマをする事)が大きな問題となっています。
スポーツとは「結果が予想できないドラマ」だからこそワクワクし、そしてそこにブックメーカーを通して賭けが行われる訳ですが、その勝敗の偶然性に ”故意” のプレーや不正が絡めば、その価値は大きく損なわれる事となります。
近年に起きた日本人の例で言うと、テニスジュニア時代に錦織圭選手とダブルスを組んで国別対抗戦の世界大会に出場したこともある三橋淳選手の事件があります。
2015年11月に南アフリカ・12月にナイジェリアの各フューチャーズ大会にて、他の選手に八百長を持ちかけたとしてテニスの不正監視団体であるテニス・インテグリティ・ユニット(TIU)から八百長などで永久資格停止するとされ、5万ドルの罰金も科されました。
スポーツベッティングの市場規模が大きくなればなるほど,関与する当事者も増えてくる事が避けられなく、ベッティングの主催者やスポーツ団体、さらには捜査機関・警察との間での連携が重要となってきます。
欧州では統一化されたルール作りが現在も進められています。
ブックメーカーによるギャンブル依存症
日本でもカジノ法案などで問題視されているギャンブル依存症ですが、ブックメーカー発祥の地であるイギリスでも若年層を中心に、近年ギャンブル依存症の人が急激に増加しています。以前は店頭購入がメインだった所、インターネットから手軽にベットできるようになったことも、ギャンブル依存症の増加の原因とされています。
イギリスでは2005年に賭博法(Gambling Act)が制定されたことで、ブックメーカーがプレミアリーグのスポンサーを務めたり、テレビなどでの広告宣伝活動を行う事が可能となりました。
2018・2019年にはプレミアリーグの20クラブ中9クラブ、チャンピオンシップの24クラブ中17クラブのメインスポンサーを、ブックメーカーが務めるほどに。
また、競馬などの例外を除き、スポーツの試合中継でブックメーカーの広告を流さない・子供に影響力のある有名人、25歳未満の人物を広告に起用しない・クレジットカードを利用したギャンブルを禁止する新規則を適用・ギャンブル依存症更生施設での就労支援…などといった対策を行っています。
ブックメーカーのまとめ
世界中で注目されている最新のエンタメであるブックメーカーでのベッティング。
ビジネスの市場規模がイギリスから世界へ急拡大し、多くの企業が参入しています。日本でも解禁の動きが出ていますが、最近では横浜市長選で、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致撤回を掲げた候補が勝利し、IRから撤退する事も記憶に新しいですよね。
日本人のカジノに対する抵抗感はいまだ根強く、海外のように普及することは未だ未だなさそうですが、スポーツが好きな国民が多い事から今後の成長が見込める事は事実。
以下のような日本人向け日本語サイトのブックメーカーも続々と成長してきています。
CasinoTopsOnline編集部
監修: 和希愛
編集長