ブックメーカー 税金事情と申告漏れの罰則【納税義務を解説】
ブックメーカーで納税義務が発生する条件や所得税の分類、税金の計算方法、節税方法などを解説します。
合法的なブックメーカーで堅実に稼いだ所得に対しては他の所得で同様に確定申告が必要になります。
ブックメーカーの資金の流れは電子決済やクレジットカードを経由して決済されるので税務署も確実に把握しております。ブックメーカーの納税義務を怠ると無申告課税の通知がきて最悪、住民税の納付もしていなかったというケースも発生し兼ねません。
ブックメーカーで健全に得た所得は株投資や副業と同じように納税義務が発生することを必ず覚えておきましょう。
ブックメーカーで納税義務が発生する要件
ブックメーカーは時間や場所を問わずにオンラインで手軽にプレイができる為、「ギャンブル」というより「ゲーム」として捉えがちに。
しかし投資などと同様に払戻金を得ている以上、基本的に税金はかかります。
この納税義務が起こる=確定申告が必要になる可能性があるのは、その年の1月1日~12月31日の間に『50万円以上の収益を上げた人』となります。
50万円の特別控除が認められている為、利益が50万円以下でしたら納税の必要はないという事。ただし、計算の際には「損失額は支出として計算に入れることができない」という点に注意。
「収入ー経費(勝った時のベット金額)-50万円」の金額に対して税金がかかります。
一時所得の計算に含まれる支出額というのはあくまで「利益が合った場合の支出」のみとなります。
負けたときの支出も含めて計算すると、一時所得の計算を誤り、そんなつもりはないのに申告漏れしてしまうこともあるのです。
例えばある日10万円を賭けて、50万円を獲得→40万円の利益が出たとします。その次の日に15万円を賭け、5万円を獲得⇨10万円の損失が出ました。
ここで計算式に入れる「収入額」は40万円ですが、「総支出額」は1回目に賭けた10万円と2回目に損失のあった10万円=20万円…ではなく、利益が合った日の10万円のみ、なのです。
この点に注意して一時所得の額を計算しなくてはなりません。
後ほどご紹介する計算方法に他の所得と合わせて税率を計算すると、実際にいくら納めるのかがわかります。
所得や勤務形態などによって変わってくるので、必要書類がわからない場合は調べてみるか、税務署の職員に聞いてみましょう。
また扶養内の方の場合、扶養親族になるためには「年間の合計所得金額が48万円以下であること」が条件となっています。
よって、年間の所得が48万円以内になるように抑えれば扶養の範囲内であり、確定申告は不要となります。
ただし、住民税の申告は45万円を超えると申告が必要になりますので、できれば45万円以内に抑えておきたいところ。
ブックメーカーの該当する所得税法
ブックメーカーで得る払戻金の所得の分類は「一時所得」か「雑所得」ですが、例外を除いてブックメーカーは「一時所得」に分類されます。
それぞれの違いを見ていきましょう。
一時所得の特徴
「所得」には、給与所得や事業所得、山林所得など10種類の区分に分けられていてそれぞれ税額の計算が異なります。
この10種類の所得のうちのひとつが「一時所得」。
一時所得とは、懸賞、クイズの商品、競馬の馬券の払戻金、生命保険の満期保険などのことで、以下の要件を満たす所得のことをいいます。
一時的な所得であること
働いたことによって得た所得ではないこと
資産の売却によって得た所得ではないこと
営利を目的とする継続的な行為から生じたものではないこと
一時所得に分類される具体的な例は以下のとおりです。
懸賞、クイズの賞金や商品
法人から贈与された金品
懸賞や福引きの賞金・競馬の馬券、競輪の車券の払戻金
生命保険の満期保険金
長期損害保険の満期返戻金
借家人が立ち退きにあった時にもらう立退料
遺失物を拾った人がお礼としてもらう謝礼金
ブックメーカーは上記の③に該当する事になります。
雑所得の特徴
そして「雑所得」とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得のことを言います。
例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
つまり小規模の副収入や、年金、小規模の仮想通貨といった、分類できない所得のこと。
また本業とは別にブックメーカー投資として年間に数百万ほど副業として稼いでいると判断された場合も、「雑所得」として認められます。
「雑所得」と認められた場合、収入額-必要経費=課税対象額となり、経費として認められる範囲は一時所得よりも広がります。
必要経費の幅が広がるという事は、ブックメーカーを行う為に必要となるパソコン代やモニター代、通信費など「投資」にかかる費用は経費として落とせます。
ただし、ハズレのベットを経費として証明するためには、根拠となる資料が必要なので税理士さんに相談した方が安全です。
ブックメーカーで投資運用したい方は「ブックメーカーが「投資」として認知される理由と正しい投資法」を参考にしてみて下さい。
ブックメーカーの税金の計算方法
一時所得を計算する計算式は以下になります。
一時所得 = 総収入額 ー 総支出額 ー 特別控除額 (最高50万円)
また、所得税は、一時所得から計算します。
【一時所得×1/2=所得税】
この課税所得に対し、所定の税率を乗じたものが、『所得税額』となります。所得税率は年収によって下記のように変化します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 ~ 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 ~ 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 ~ 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 ~ 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 ~ 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超え | 45% | 4,796,000円 |
ブックメーカーの税金の計算例
例えば1年間でブックメーカーへの入金額20万円で払戻金額が100万円だった場合の収益は80万円に。
納税額の計算は先程の計算式に当てはめると…
【一時所得の額=総収入額:100万円-総支出額:20万円-特別控除額:50万円→30万円】
【所得税の額=一時所得:30万円×1/2→15万円】
ここに所定の税率を乗じますが、例えば年収が300万円だった場合、先ほどの表より税率は10%になるので…
【15万円×10%=1万5千円】
つまり、この場合は15,000円の税金がかかるという計算になります。
その年の1月1日から12月31日までの1年間で得た利益に対して、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要がります。
申告を怠った場合は、延滞税や無申告加算税などの対象になる可能性もあるので、気を付けてください。
ブックメーカーの税金対策
では、果たしてブックメーカーから出た収益に対する納税金額を減らす方法はあるのでしょうか?
節税にもなる税金対策についてご紹介します。
節税対策①「出金時期の調整」
ブックメーカーでの勝金は銀行振込や小切手など、記録に残る方法に限られています。
つまり税務署側がお金の流れを容易に把握できるため、納税しなければ脱税として追及されてしまうことに。
しかし、ブックメーカーから出金をして銀行口座へお金を引き出さない限りは、税務署も利益を把握することができないという事になります。
そして税金がかかるのは前年の1月1日~12月31日分なので、仮に利益が特別控除額の50万円をギリギリで超えそうな場合は、12月31日を超えるまで出金しないという方法があります。
また、所得税の税率は先ほどの表の通り、所得金額によって変わります。もしも年内にブックメーカーでの収益が大きく、税率が上がりそうなときも12月31日を超えるまで出金しない方がオススメです。
節税対策②「デビットカードで出金」
ブックメーカーへの入出金に使えるecoPayzなどの電子決済サービスの中には、運営会社が海外にある「スティックペイ」や「タイガーペイ」など、プリペイド式のデビットカードを発行しているところがあります。
ブックメーカーの収益をそれらの電子決済サービスへ出金して、カードを使ってATMから引き出す、という方法を取れば銀行口座に履歴が残らず、税務署側も利益を把握することができなくなります。
ただしこにらは少々グレーな方法なので、ご参考程度になさって下さい。
節税対策③「仮想通貨のウォレットに出金」
ブックメーカーで得た利益は前述の通り「一時所得」となりますが、仮想通貨を利用し、銀行口座へ出金した場合は「ブックメーカーからの送金」ではなく「仮想通貨からの送金」という形に。
こうする事によって「雑所得」に分類されます。
また仮想通貨の税金が発生するのは、銀行口座に着金してからになります。
つまりウォレット内に保有している限りは税金は発生しないので、まずは一旦仮想通貨のウォレットに出金する、という方法があります。
雑所得になると前述の通り経費として認められる範囲が一時所得よりも広がり、PC代や通信費、書籍購入費といったものを経費に計上できます。
ただし、雑所得は特別控除の50万円がなくなるので、収益額によって節税になるかならないかが変わってくるので、そこは見極めが重要になります。
ブックメーカーの税金で注意する点
ではブックメーカーにおいてどこまでが経費として認められるのか、またもしも申告漏れがあった場合などは一体どうなるのか?
注意すべき点についてご説明します。
注意点1. ブックメーカーの経費
ブックメーカーを趣味として楽しんでいる方にとって、もし赤字となったとしても、ベット額については経費として認められません。
例えば、年間で合計ベット金額が200万円だったとして、180万円分は的中せず、20万円分のみ的中、そして獲得額は150万円だった場合。
この場合の経費はベットした200万円でもなく、損失となった50万円でもなく「的中したベット額」である20万円だけとなります。
また、ブックメーカー投資として年間に数百万ほど副業として稼いでいると判断された場合は「雑所得」認められますが、その為には「投資」としてベットしている証明が必要。
的中しなかったベットを経費として証明するためにも、根拠となる資料が必要となるのです。
つまり「利益を得るために不的中となったベットも絶対に必要」などといった「投資」である明確な証明が必要に。
「投資」としてブックメーカーをプレイしている方は一度、税理士さんなどの専門家に相談してみましょう。
注意点2. ブックメーカーの無申告課税
納税額に関しては先ほどご紹介して計算式によって算出しますが、負けたときの支出も含めて計算したりすると、一時所得の計算を誤ってしまい、故意的ではなく申告漏れしてしまうことに。
それは脱税という形になってしまい、税務署にばれた場合、様々なペナルティとして追加で税金が掛かります。
本来支払うべき税の不足分に加えて、原則として4種類ある「加算税」が追徴課税されます。
それぞれのケースについて課税される「加算税」は、下記の通りになります。
▷「申告漏れ」の加算税
過少申告加算税:申告期限内に申告はしていたものの、申告額が本来支払うべき税よりも少なかった、という場合に課税される。加算税は5~15%。
無申告加算税:定められた申告期限までに申告をしなかった場合に課税される。無申告加算税は10~20%という設定。
不納付加算税:源泉所得税を納付期限までに納めなかった場合に課税されるもの。
▷「所得隠し」および「脱税」の加算税
重加算税:納税額を意図的に偽装・隠蔽したうえで、無申告、過少申告を行った場合に課税される。修正申告によって支払うべき税額の35%ないし40%、最大で50%もの税額が加算される。
この様に「申告漏れ」と「所得隠し」および「脱税」では追徴課税の額が大きく変わってくる為、遅れて確定申告をするよりも、間違えていたとしても期限内に確定申告をした方が追徴税は少なくて済むということになります。
ブックメーカーの脱税については「ブックメーカーの脱税がバレる理由と罰則を詳しく解説」で詳しく解説しています。
ブックメーカーの税金まとめ
税金や確定申告…と聞くと会社員の方などは特に会社が全て行ってくれる事なので、難しい話のように思えてしまいますよね。
ただご説明した様に実際はそんなにややこしい話ではなく、「収益が50万円を超えたら申告する」というだけの事。
原則として、1月~12月の1年間に得た所得はすべて翌年2月16日~3月15日の間に確定申告しなければなりません。
ブックメーカーからの所得も例外ではありませんので忘れずに申告して下さいね。
CasinoTopsOnline編集部
監修: 和希愛
編集長